技術者 2018 5 5

 みなさんは、ガソリンエンジンの自動車が、
どのような仕組みになっているか、ご存知でしょうか。
 多くの人は、ガソリンを入れれば動く。
そう思っているだけで、ボンネットを開けて、
エンジンルームを見たことがないかもしれません。
 今後、電気自動車が主流になってくると、
なおさら、車の構造を気にしなくなり、
「ブラックボックス」となっていくでしょう。
 普通の人は、これでもよいのかもしれませんが、
将来、日本の未来を担う技術者は、これではダメです。
 さて、また昔話をしましょう。
私が大学生の頃、
レーサーレプリカのオートバイが大人気となり、
私も、つい、そういうバイクを買ってしまったのです。
 しかし、当時のバイクは、
キャブレターが自然吸気で機械式だったので、
キャブレターのセッティングに苦労したと書きましたが、
結局、最適のセッティングは見つけることはできませんでした。
 これは、当たり前の話で、
都会を走っている時は大渋滞で、エンジンは低回転、
田舎を走ると道がすいているので、エンジンは高回転という状態です。
こうした両極端に対応できる「万能のセッティング」はないということです。
 そのうえ、困ったのは、点火プラグの問題です。
レーサーレプリカのオートバイですので、
標準で装備されているプラグは、
高回転・高出力型のプラグとなります。
これで渋滞する道を走ると、どうなるか。
プラグがくすぶって使い物にならなくなります。
 そうかといって、低回転向けのプラグを使うと、どうなるか。
道がすいているところで、エンジンを回すと、
プラグが焼き付いてしまいます。
 そこで、どういう対応をしたのか。
渋滞する道路に入る前にプラグの交換をして、
渋滞する道路が終わったら、またプラグの交換をしたことがありました。
これは、ゴールデンウイークの時のように激しい渋滞の時です。
 オートバイは、エンジンがむき出しになっていますので、
プラグの交換は、比較的、楽でした。
 当時のエンジンは、2ストローク・エンジンだったので、
構造は、シンプルでした。
 しかし、その時、思ったのは、
「これでは、まるでサーキットを走るレーシングマシンのようなものだ。
だから、レーサーレプリカと言うのか」と思いました。
 本当に、苦労の連続だった「バイク生活」でしたが、
エンジンの仕組みは、すっかり詳しくなりました。
 最近のエンジンは、このような心配はありません。
なんでもコンピューター制御になっていますので、
最適の混合気(ガソリンと空気)、
最適の点火タイミングなど、
すべてコンピューターが行っています。
エンジンを動かすのにプログラミングが必要な時代です。
 もちろん、プログラミングはメーカーの技術者が行いますが、
一般の人にとっては、車が「ブラックボックス」になってしまいました。
 そういえば、一般の人にとっては、
パソコンも「ブラックボックス」となってしまいました。
 かつては、パソコンの自作が多かったのです。
秋葉原で、パソコンの部品を集めてきて、パソコンを組み立てる。
 「それが、何の役に立つのか」と言う人もいるでしょうが、
このような作業が、将来、日本を担う技術者を育てるのです。
 日本の国が、全員、文科系になる時が、
日本の終わりを意味しています。

冬が来ると 2017 12 24

 冬が来ると、パソコンを作りたくなる。
なぜかというと、昔ほどではありませんが、
冬が来ると、「パソコン自作」の雑誌が本屋に並ぶからです。
 さて、なぜ、このようなことを書くかというと、
プログラミングを学ぶ上で、
パソコン、つまりコンピューターが、
どのような仕組みや構造になっているのかを知っている必要があります。
 こうした仕組みや構造を知っていないと、
プログラマーとしての「壁」に直面するでしょう。
 次に、「パソコン自作」というテーマが、
日本の製造業に問題を提起しています。
 普通の人が、秋葉原に行って、
パソコン部品をかき集めて、
高性能なパソコンを製造できてしまうのです。
 いや、今や、ビックカメラのような家電量販店でも、
パソコン自作用のパーツを大量に並べて販売していました。
 パソコン部品の製造地を見ると、
一番多いのが、台湾でしたが、
中国、シンガポール、マレーシア、タイもありました。
 そうすると、パソコン部品をかき集めて、
自作パソコンを作ると、
世界各地から優秀な部品を集めてパソコンを製造するようなものです。
 すべての部品を国産にしたいと思う人がいるでしょうが、
それでは、コスト高になってしまう上に、
調達に手間がかかります。

書名 PC自作の鉄則 2018
出版社 日経WinPC編 日経BP社

 「日経WinPC」というと、パソコンブームの時は、
「日経WinPC」という月刊誌が本屋に山積みになっていて、
私は、毎月買っていたことを思い出します。
 さて、今年は、CPUの「当たり年」でした。
「CPU豊作の年」と言ってもよいでしょう。
 ここ数年、CPUは低迷していたのです。
ところが、今年前半に、「AMD」というメーカーが、
「Ryzen」という画期的なCPUを発売すると、
「Intel」が次々と革新的なCPUで対抗してきたのです。
 やはり、ライバルメーカーがあってこそ、
業界は発展するということでしょうか。
 さて、「パソコン製造」というと、
何か難しいことのように思うでしょうが、
基本的に「パソコン製造」は、料理と同じようなもので、
材料を集めてきて、組み合わせて作るのです。
 さすがに、カレーライスのような簡単な料理ではなく、
中華の「酢豚」を作るようなイメージでしょうか。
 まずは、食材を集めて、
いや、パソコン部品を集める必要があります。
CPU
マザーボード
メモリー
SSD
HDD
グラフィックスボード
PCケース
電源ユニット
キーボード
マウス
液晶ディスプレイ
OS(Windows)
 こうした部品が集まったら、
あとは、プラモデルのように組み立てるだけです。
いや、プラモデルよりも簡単です。
 「パソコン製造」には、
プラスドライバーが1本あれば製造が可能です。
 プラモデルの場合は、
いろいろと小道具を揃える必要があると聞いたことがあります。
 ところで、私は、今は、パソコン自作をやっていません。
何かと忙しい人には、別の方法で、「パソコン自作」気分を味わうことができます。
それが、「BTO」です。
 もちろん、若い人や時間に余裕がある人は、
ぜひともパソコン自作に挑戦してください。
得られる成果と充実感、さらにスキルアップなど、十分に満足感があると思います。
 さて、「BTO」とは、要するに、パソコンのオーダーメイドです。
家電量販店で売っているパソコンが既製品だとすると、
オーダーメイドでパソコンを注文する方法です。
 多くの人は、オーダーメイドでは高いのではないかと思うでしょうが、
実は、既製品よりも、オーダーメイドのほうが安いのです。
 問題は、オーダーメイドの場合は、
注文してから、パソコンが届くまで、1週間ぐらいかかることです。
 オーダーメイドなので、自分好みのパソコンができます。
CPUは、「Intel」にしようか、「AMD」にしようか。
HDD(ハードディスク)は、どの大きさにしようか。
グラフィックスボードは、「NVIDIA」か「AMD」か。
 このように、オーダーメイドで、
パソコンの部品を一つ一つ指定していきますので、
「パソコン自作」気分を味わうことができます。
 オーダーメイドのメーカーは、どこか。
有名なのは、テレビCMでよく流れている「マウスコンピューター」でしょうか。
老舗では「ツクモ」、「ドスパラ」、「パソコン工房」でしょう。
































































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